Consumption tax

2019年10月1日、消費税増税を巡る凡そ5年に渡る斯くも下らない喜劇はひとまずの終幕を迎えました。

今後は増税反対で講演、売文等されていた方々、つまり「増税後は是非とも景気が悪化してもらはないと困る人達」によるポジショントーク、如何なる事態も消費税増税の責任に帰する言説が多く聞かれることでしょう。

確認書、法律案等の時系列推移

  • Source:首相官邸、衆議院、財務省
確認書/法律案等 URL
1 確認書(平成 24 年 6 月 15 日 民主党・自由民主党・公明党 三党実務者協議) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai1/siryou3.pdf#page=10
2 社会保障・税一体改革に関する三党実務者間会合合意 税関係協議結果(抄) (平成 24 年 6 月 15 日民主党・自由民主党・公明党) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai1/siryou3.pdf#page=11
3 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18005072.htm
4 平成27年度税制改正の大綱(4/7) 消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9551815/www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2015/27taikou_04.htm#04_01
5 「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案」について http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/192diet/st280926g.htm

内閣総理大臣の弁明

  • すっかり政争の具と化した消費税増税。
  • だいたい政権与党が「増税延期したいんですが宜しいでしょうか?いえ歳出は減らしません」として反対する人はどの程度いるのでしょうか?
  • 過半数以上の有権者は「野党も同じく増税延期を公約?なら現与党で良いわ」では?
  • 総理から総理へと受け継がれ、語り継がれていく増税延期カード。
  • Source:首相官邸

第1回弁明からの抜粋:2014-11-18

・そうです2014年に景気条項は外しているのです。
内閣総理大臣の弁明
1 『昨日、7月、8月、9月のGDP速報が発表されました。残念ながら成長軌道には戻っていません。』
2 『消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。』
3 『財政再建についてお話しいたします。社会保障・税一体改革法では、経済状況を見て消費税引き上げの是非を判断するとされています。今回はこの景気判断条項に基づいて、延期の判断をいたしました。』
4 『来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。』

第2回弁明からの抜粋:2016-06-01

・「危機ではないが備える」との便利な理由で再び延期。2016年トランプ氏当選。2017年は主要国の株式や雇用が絶好調。
内閣総理大臣の弁明
1 『最大の懸念は、中国など新興国経済に「陰り」が見えることです。リーマンショックの時に匹敵するレベルで原油などの商品価格が下落し、さらに、投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついています。』
2 『これまで7回にわたって国際金融経済分析会合を開催し、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授を始め、米国や欧州、アジアの経済の専門家から直接意見を伺ってまいりました。 その専門家の多くが、世界的な需要の低迷によって、今年、そして来年と、更なる景気悪化を見込んでいます。』
3 『私たちが現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なります。しかし、私たちは、あの経験から学ばなければなりません。』
4 『しかし、「リスク」には備えなければならない。今そこにある「リスク」を正しく認識し、「危機」に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだと考えます。』
5 『中国などにおいては、過剰設備や不良債権の問題など、構造的課題への対応の遅れが指摘されており、新興国経済の回復には時間がかかる可能性があります。そうした中で、世界的な需要の低迷が長期化することも懸念されることから、できる限り長く延期すべきとも考えました。』
6 『2020年度の財政健全化目標はしっかりと堅持します。そのため、ぎりぎりのタイミングである2019年10月には消費税率を10%へ引き上げることとし、30か月延期することとします。その際に、軽減税率を導入いたします。』
7 『世界経済は今、大きなリスクに直面しています。しかし、率直に申し上げて、現時点でリーマンショック級の事態は発生していない。それが事実であります。』
8 『国民生活に大きな影響を与える税制において、これまでお約束してきたことと異なる判断を行うのであれば、正に税こそ民主主義であります、であるからこそ、まず国民の皆様の審判を仰いでから実行すべきであります。』

第3回弁明からの抜粋:2017-09-25

・「使いみちの一部を福祉等に変えたいので解散します」と。善良なる納税者が反対するわけ無いでしょう。なかには「米国と北朝鮮の緊張が翌年激しくなるから」などとする言説もあったようですが2018年、トランプ氏と金正恩氏は恋に落ちたようです。
内閣総理大臣の弁明
1 『子育て、介護。現役世代が直面するこの2つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換します。急速に少子高齢化が進む中、国民の皆様の支持を得て、今、実行しなければならない、そう決意しました。2兆円規模の新たな政策を実施することで、この大改革を成し遂げてまいります。』
2 『しかし、そのつけを未来の世代に回すようなことがあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。』
3 『2%の引上げにより5兆円強の税収となります。現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。』
4 『増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。』
5 『他方で、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は、困難となります。しかし、安倍政権は財政再建の旗を降ろすことはありません。プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持します。』
6 『国民の皆様とのお約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない。そう決心いたしました。28日に、衆議院を解散いたします。』